単身赴任が決まると、まず気になることの一つが「単身赴任手当はいくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。
会社によって金額も条件も大きく異なるため、ネット上の情報だけでは自分のケースに当てはまるのか判断しにくいという声もよく聞かれます。
この記事では、単身赴任手当の一般的な相場感と、あわせて知っておきたい手当の種類を、公的な調査データをもとに整理します。
1. 単身赴任手当は法律で義務づけられた手当ではない
単身赴任手当は労働基準法などで支給が義務づけられた手当ではなく、会社が任意に設ける福利厚生の一種です。
そのため、支給するかどうか、いくら支給するかは、すべて各社の就業規則・給与規程によって決まります。
これから紹介する数字は、厚生労働省・人事院による公的調査の平均値にすぎません。
「相場が◯円だから自分ももらえるはず」とそのまま当てはめることはできません。
確認の具体的な手順は、この記事の後半(5章)で詳しく説明します。
2. 単身赴任手当の相場、どのくらいが目安か

民間企業の相場
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」の集計では、単身赴任手当・別居手当が支給された労働者の1人平均支給額は月47,600円ほどです(令和元年11月分)。
同じ調査で住宅手当の平均支給額も17,800円ほどとなっており、単身赴任者にはこちらもあわせて支給されるケースがあります。
これらは全企業の平均であり、実際の支給額・支給されるかどうかは企業規模によって差がある点には注意が必要です(具体的な数値は次章で紹介します)。
公務員の相場
国家公務員の単身赴任手当は、基礎額が月額30,000円で、そこに赴任先までの距離に応じた加算額が上乗せされる仕組みになっています。
距離加算の金額は赴任先までの交通距離に応じて決まる仕組みで、人事院「国家公務員の諸手当の概要」(根拠条文は一般職給与法第12条の2)では月額30,000円〜100,000円という支給額の幅が示されています。
距離加算の上限は最高70,000円とされているため、基礎額と合算すると、赴任先が遠方の場合は月10万円程度まで達する例もあります。
民間企業の中には、この公務員の制度を参考に手当額を設計している例もあり、一つの目安として押さえておく価値があります。
3. 企業規模で、手当の「ある確率」と金額はどう変わるか
前述の47,600円という数字は、あくまで全企業の平均値です。
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」では、単身赴任手当・別居手当を含む諸手当の支給企業割合と、実際に支給された労働者の平均支給額が企業規模別にまとめられています。
| 企業規模 | 単身赴任手当・別居手当の支給企業割合 | 支給された労働者の平均支給額 |
|---|---|---|
| 全体 | 13.1% | 47,600円 |
| 1,000人以上 | 66.6% | 47,600円 |
| 300〜999人 | 41.4% | 47,700円 |
| 100〜299人 | 22.0% | 46,100円 |
| 30〜99人 | 5.3% | 49,600円 |
この表を見ると、1,000人以上の企業では単身赴任手当・別居手当を支給している割合が66.6%あるのに対し、30〜99人の企業では5.3%にとどまっています。
「大企業だから金額も高いはず」と思い込まず、まずは自社に制度があるかどうかを確認することが先決です。
業界別の傾向は公的統計では確認できない
業界別の支給企業割合・支給額を示す公的な統計は、今回確認した調査の範囲では見当たりませんでした。
商社・メーカー・金融機関など転勤が多いとされる業界ほど手当が整備されている傾向がある、とよく言われますが、具体的な数値での裏付けまでは確認できていません。
気になる場合は、転職口コミサイトや、実際にその業界で単身赴任を経験した人の話を参考程度にとどめておくのが無難です。
4. 単身赴任に関連する手当の種類、4つを押さえる

単身赴任手当とひとくちに言っても、実際には複数の種類の手当が組み合わさっていることがあります。
単身赴任手当本体(毎月の生活費補助)
毎月の給与に上乗せされる形で支給される、単身赴任生活の生活費補助にあたる手当です。
ここまで紹介した47,600円程度という平均額は、主にこの手当本体を指しています。
住宅手当(併給されるケースがある)
単身赴任先の家賃補助として、住宅手当が単身赴任手当と別枠で支給されることがあります。
会社によっては、単身赴任手当に住宅費相当分が含まれている(住宅手当と統合されている)ケースもあるため、内訳を確認しておくと理解しやすくなります。
帰省旅費(実費または上限付き)
単身赴任先から自宅へ帰る際の交通費を補助する手当です。
実費精算のケースと、月1回・年数回など回数に上限がついているケースがあります。
転勤支度金(赴任時の一時金)
赴任が決まった際の引っ越し費用や、新生活に必要な初期費用を補助する一時金です。
毎月支給される単身赴任手当とは異なり、赴任のタイミングで一度だけ支給されるのが一般的です。
単身赴任に関連する主な手当、4つの整理:
①単身赴任手当本体:毎月の生活費補助
②住宅手当:単身赴任先の家賃補助(単身赴任手当に含まれる場合もある)
③帰省旅費:自宅への交通費補助(実費または上限付き)
④転勤支度金:赴任時の一時金(引っ越し・新生活費用)
なお、単身赴任手当そのものは原則として課税対象になります。
転勤支度金や引っ越し費用(転居費)は、旅費規程に基づく実費精算分であれば非課税として扱われることがありますが、帰省旅費については、単身赴任者が定期的に家族のもとへ帰るための旅費という性質上、原則として給与課税の対象になると考えられます。
こうした税務上の扱いについては、単身赴任と確定申告、単身赴任手当・帰省旅費の税務上の扱いを整理する記事で詳しく解説しています。
5. 自分の会社の手当を確認する方法

相場感を把握したら、次は自分の会社の実際の制度を確認するステップです。
就業規則・給与規程は、人事・総務部門に直接問い合わせるか、社内ポータルの規程集を確認するのが確実です。
確認する際は、支給条件を次の3点に分けてチェックすると漏れが少なくなります。
支給条件、確認したい3つのポイント:
①扶養家族要件:配偶者・子どもなど扶養家族が別居しているかどうかが条件になっているか
②距離要件:赴任先と自宅の距離が一定以上(規程で定められた基準以上)離れていることが条件になっているか
③住民票要件:住民票を移していること、または移していないことが支給条件・支給停止条件になっていないか
この3つの基準は会社によってバラバラなため、規程集の該当条文を実際に読んで、自分のケースが当てはまるかどうかを一つずつ確認しておくと安心です。
6. まとめ:相場はあくまで目安、自社の規程を確認する
単身赴任手当の相場は、民間企業平均で月額47,600円程度、国家公務員は基礎額30,000円に距離に応じた加算(上限70,000円)が付き、月額30,000円〜100,000円程度が目安です。
企業規模によって「手当があるかどうか」は大きく変わりますが、制度がある企業どうしを比べると支給額そのものの差は限定的です。
単身赴任手当・住宅手当・帰省旅費・転勤支度金という4種類の手当の内訳を意識しながら、まずは自社の就業規則・給与規程を確認することが、正確な金額を知る一番の近道です。
なお、この記事では「相場がいくらか」を中心に整理しましたが、実際にもらった手当を家電費用にどれくらい回すべきかという「使い道」の視点は、別の記事で扱う予定です。


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